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正しく理解できてる?  HSCについて知ろう|ともに育つ・育む

うちの子は育てにくい?他の子と違う? そんな悩みを持つママたちを中心にここ数年で理解が広まってきたHSCについて、 心療内科医の明橋先生にお伺いしました。

近年子育て中のママたちが気になっているHSCとは?

自分の子が他の子と違うと感じると不安になりますよね。性格なのか、何らかの障がいがあるのか、誰に相談したらいいのかわからない…と悩んでいる方もいるかもしれません。HSCは「Highly Sensitive Child」の頭文字。些細なことにでも刺激を受け、敏感で感受性が強く、繊細さを持った「人一倍敏感な子」のことをいいます。HSP・HSCの提唱者、エレイン・N・アーロン博士の『ひといちばい敏感な子』が日本で出版されてから、悩みを持つママたちの間で口コミで広がっているようです。

〝敏感さ〟は似ているけれどHSCと発達障がいは違うもの

HSCはよく発達障がいと誤解されますが、障がいではなく持って生まれた性格で、5人に1人の割合でいます。どちらも感覚的に敏感なところは似ていますが、決定的に違うのが、発達障がいは人の気持ちを汲む事が苦手なのに対して、HSCは「人の気持ちがわかりすぎるくらいわかる」ということ。HSCも気が散りやすいところはありますが、それは周りの様々な刺激が全部入ってきてしまうから。刺激がなければ集中することができ、気が散るものから意識をそらすこともできます。そのため多大な精神的エネルギーを使って興奮したり疲れやすくなることもあります。HSCは病気ではないため、治すものではありません。その子の敏感な気質を知り、伸ばしていくことがHSCの子育てです。

HSCの子どもとの関わり方やサポートの方法とは

HSCの子どもと関わるとき、基本的にはその子のペースを尊重していきましょう。周りの子と少々ペースが違っても、あまり周囲に合わせることを無理強いしないことが大切です。HSCの子どもを育てている親御さんは、周囲から「親が過保護だから、子どもがいつまでたっても自立できない」「親が子どもの言いなりになっているから、子どもも協調性がない」などと言われることがあります。しかし、親が過保護だから子どもが自立できないのではなく、子どもがHSCで人一倍不安が強いから、他の子以上に親のサポートを必要とするのです。親も最初から保護的に関わっていたわけではなく、試行錯誤するうちに、子どものペースを尊重する方が子どもも親も楽だということが分かって、現在のような関わりになっているのです。そのような関わり方は、HSCの子どもには必要なことです

1人で悩まずに保育園や学校、かかりつけ医などに相談を

子どものことで不安に感じることがあれば、まずは保育園や学校、子育て支援関係、かかりつけの小児科で相談すると良いでしょう。HSCについては、正しい知見を持つカウンセラーや医師、またHSCの子育てをしているお母さんたちの集まりがあるので、そこでの相談がおすすめです。人一倍敏感な子は自分の気持ちをしっかり出せているので、親御さんは大変ですが、成長するうちに子どもも自分の気持ちのコントロールの仕方を身につけて落ち着いてきます。敏感な子は素晴らしい能力もたくさん持っているので、HSCの知識を得てスキルを身に付け、子育てを楽しんでほしいと思います。

HSCを正しく理解してその子に応じた子育てを

ひどいいじめに遭ったわけでもないのに、どうしても教室に入れないという子どもの話をよくよく聞くと、「先生が他の子を怒る声が怖い」「騒がしい教室が苦手」と言います。そんなことでと思うかもしれませんが、その子にとっては本当に恐怖で苦痛なこと。発達障がいとHSCの特性は全く異なり、適切な対応も違います。発達障がいのグレーといわれてきたけれど、実はHSCだった、ということが少なくないのです。
発達障がいについてはここ数年で理解が進んできました。しかし敏感な子については、まだほとんど知られていません。まずはHSCを正しく理解し、それに応じた子育てをすることが大切。子どもたち一人ひとりが、その特性に配慮され、適切な関わりを受けられることを願っています。

HSCの4つの特性

1.深く処理する
2.過剰に刺激を受けやすい
3.全体的に感情の反応が強く、特に共感力が高い
4.ささいな資源を察知する

※エレイン・N・アーロン 著、明橋大二 訳『ひといちばい敏感な子』(1万年堂出版、2015年)より引用

HSCは生まれ持った性格。否定せずに、子どものペースを尊重してあげることが大切です。
HSCを正しく理解して、その子に合った子育てをしましょう。

教えてくれたのは… 

真生会富山病院 心療内科部長 明橋大二 さん

昭和34年、大阪府生まれ。京都大学医学部卒業後、国立京都病院内科、名古屋大学医学部附属病院精神科、愛知県立城山病院を経て、真生会富山病院心療内科部長就任。NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと理事長、富山県虐待防止アドバイザー、一般社団法人HAT共同代表。著書に『子育てハッピーアドバイス』『HSCの子育てハッピーアドバイス』『みんな輝ける子に』(1万年堂出版)など多数。

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この記事を書いた人

まみたん編集部

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