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子どもの発達障害 気づいて、知ろう |ともに育つ・育む

「発達障害」は最近よく耳にするようになったものの、詳しく知らない部分も多く、さまざまな誤解をしている可能性も。 我が子が発達障害であるか否かに関わらず、お互いに理解し配慮をもって過ごすためのポイントを国立障害者リハビリテーションセンター病院 児童精神科医長 金 樹英先生に伺いました。

Q.発達障害とはなんですか?

発達障害の原因はまだよくわかっていませんが、脳の機能のしかたが生まれつき異なるために、低年齢から症状が発現する障害です。発達障害があると、幼児期では「視線が合わない」「他の子に関心がない」「指さしをしない」「名前を呼んでも振り向かない」「かんしゃくが強い」などがよく見られます。また、このような特徴がそれぞれ重なり合っている場合も少なくありません。1歳半、3歳児健診などの乳幼児健診は子どもの実際の行動や心配な点を専門家の目で見てもらえる機会なので積極的に受けるようにしましょう。1歳で指さしをしない、3歳で2語文が出ない、などがあれば相談をおすすめします。また、発達障害情報・支援センターのホームページでも発達障害に気づくポイントを紹介していますので、ぜひご覧ください。

Q.発達障害かもしれない… と思ったら?

保健所・保健センターや子育て支援センターなどの子育て相談の窓口で相談できます。乳幼児健診は心配なことを相談するよい機会です。必要があれば医療機関などの受診をすすめられることもあります。
最近は保育園や幼稚園の先生方も発達障害のある子どもへの対応方法を学んでいます。気になることがあれば、通っている園の先生にまず相談してみるのもいいでしょう。

Q.発達障害にはどのように対応する?

発達障害は病気ではないので、治療ではなく「治療的な対応をする」ということになります。基本的には、困っているのは子ども自身であることを理解し、その子に合った工夫をすることが大事です。まずは、子どもの様子を観察し、短く具体的な指示と、肯定的な言葉かけを心がけましょう。
また、診断の有無にかかわらず、地域の保健センターや療育機関(児童発達支援センターや児童発達支援事業所)などで子育て支援や早期療育を受けることができます。お子さんに合った具体的な対応のしかたを学んだら、家庭でも実践することが大事です。
小学校入学に際してどういった支援や配慮が必要なのかは、その子の特性と、その子の行く小学校の個々の状況との兼ね合いで決定します。決定に際しては、行政や病院などの専門機関を訪ねて意見を聞くとよいでしょう。
身近に発達障害のお子さんがいる場合には、あらかじめその親御さんに、周囲の大人はどうお手伝いしたらよいか聞けるといいですね。発達障害は親の育て方によるものではありません。その子の対応を一番良く知っているのはその子のママ・パパなので、対応しやすい状況にすることがベストです。

Q.発達障害の子を持つ  ママ・パパへのメッセージ

ママ・パパをはじめ、その子に関わる人がその子の発達障害の特徴についてよく理解して関わることが最も大切です。そのためには、早期療育や専門機関への相談などで専門家のアドバイスやサポートを得ることが必要です。相談上手になり、ママ・パパがその子の一番の理解者になりましょう。親向けのペアレントトレーニングなどのプログラムを行っている機関もあるので、発達障害者支援センターや市役所の福祉課などに問い合わせてみましょう。
子どもの障害の程度にもよりますが、福祉サービスの利用が可能な場合があるので、その際には公的な支援も上手に利用したいですね(利用には市町村の障害福祉の窓口などに相談が必要です)。発達障害者を支えるさまざまな制度や施策については発達障害情報・支援センターのページでも案内しているのでご覧ください。

発達障害の支援 基本原則

発達障害の人だけでなく、すべての人への接し方や教え方、支援の仕方の基本でもあります。

肯定的な対応をする

本人ができないことや失敗したことを責めたり、叱ったりすることは、本人を追いつめてしまうことに。「〜はすごくいいね。うまくできない○○をよくするには…するといいよ」など、どのようにすればもっとよくなるかを肯定的、具体的に伝えよう。

スモールステップによる支援

階段をあがるのに、一段ずつの段を低くしてあげれば登りやすくなるように、課題を細かく分けて一つずつクリアできるように手助けする支援のやり方。スモールステップは学習や仕事などさまざまな場面でも有効!

詳しくは、発達障害情報・支援センターHPへ

発達障害情報・支援センター

発達障害に関して、当事者、ご家族、支援者、自治体関係者等に向けて幅広い情報提供を行っています。

教えてくれたのは… 

国立障害者リハビリテーションセンター病院
児童精神科医長 金 樹英先生

国立障害者リハビリセンター病院で、児童精神科医長として勤務する傍ら、発達障害情報センターの業務にも従事。発達障害情報センターでは、開設当初からウェブサイトを運営し、発達障害に関する最新かつ信頼できる情報を掲載している。

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この記事を書いた人

まみたん編集部

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